竹田
実際受けてみて、「培養工程の複雑さをモノづくり中小企業の技術で改善できるのではないか」という印象を持ちました。中小企業には、よく「技術が埋もれている」といわれていますが、ほんの少し埋もれている技術を掘り起こすだけで、貢献できる内容がたくさんあるのだと思います。たくさんの方が参加すると、もっと培養しやすくなるのではないかとこの研修を通じて気付きました。
村山
この業界は非常に需要がある分野です。我々クラスの小さいラボは世界に何千箇所とありますが、すべてが全く同じ方法でやっているわけですから、革新的な技術を入れればマーケットは広がると思います。
竹田
研修中に講師の先生が「全国のラボでは、難しい技術が職人技になっており、かつ俗人的。技術が汎用化されるのを拒む風土がある」とおっしゃっていましたね。
村山
確かに技術を習得した人から言わせれば、自分の特技を簡単に教えてしまうのは抵抗感のあることです。それゆえ研究機関は閉鎖的な徒弟制度になっていますね。一般企業であれば、技術は標準化しないといけませんが、研究機関では、このようなことがまかり通っているのだと分析しています。誰もがiPS培養をできるようになっていかないといけません。そのためのツール開発は個々にやるのではなく、企業・組織間の垣根をブレイクして取り組むことが、技術普及に繋がると考えています。
そこで現在私たちは「iPS培養技術をパッケージとして提供してはどうか」というアイデアを考案中です。パッケージを通じて「未来のラボはこんな感じだ」「生産性が何割アップする」といった実証データを提示できるようにしていきたいです。中小企業が1社1社開発するのではなく、全体をまとめる代表企業のもとでプロジェクトとして行い、最終的にはパッケージとして販路拡大をおこなっていくのが目標です。パッケージとして培養技術を提供できるようになると、経営者の目に留まる機会も増えてくるでしょう。