京都試作ネットの匠たち:
須藤保朗 (高木金属株式会社)
見た目と機能性が融合する工業用メッキを実現したい
工業用メッキ部門を新設
前職では工業用めっきに携わっていたのですが、2年前に、当時装飾用めっきが主流だった高木金属が、工業用めっき部門を新設するという話が持ち上がりました。そこで、私が今まで培ってきた技術をもっと発揮することで力になれればと思い、転職。第一の仕事は土台作りでした。まず敷地以外は何もない状態から、設計担当の川上と2人で試作ラインを作るという形でスタートしました。ただ試作ラインといってもお客様がいないことにはできませんので、従来からお取引のあったお客様に何件か連絡させていただいて、そこから新規事業を開始しました。
自身の経験と高木金属のコラボレーション
装飾用めっきに関しては何より色めが重要視されます。一方工業用のめっきは導通性や耐蝕性といった機能が第一です。私自身装飾用めっきは初めてだったのですが、装飾用めっきの工程と工業用めっきの工程とを合わせることで、良い所と悪い所を色々吟味できました。いわば前の会社と当社とのコラボレーションです。具体的には、今まで工業用めっきというのは機能重視で、見た目は2の次でしたが、当社で装飾用めっきに携わりで見た目というのを重要視する中で、工業用であっても見た目を重要視する方向にシフトしました。見た目と機能性が合体する、即ちきれいな状態で機能が良ければ、お客様にも喜ばれるのです。
若い人を育てるための土台づくり
課題は作業工程の管理工業用めっきというのは、必ず製造過程を履歴として残さなければなりません。当社は今まで職人さんによる装飾用めっきを手がけていたので、マニュアル作りなどの枠組みがなく、管理面を一から行う必要がありました。今は試作工程に対して管理を行っている段階ですが、最終的に量産をするというのが目標なので、高木金属の弱い点を強くしていきたいと思っています。人の手で誰でも出来るようなラインのマニュアル化をしたいですね。また、今後工業用めっきの工程管理が軌道に乗れば、装飾用めっきに対しても同様の管理を展開したいと考えています。品質をはじめ効率やコスト面など、色々な管理に対してマニュアルなどがあれば、もっと簡単に良いものができ、もっと若い人が育つようになるでしょう。
量産体制の実現に向けて
量産体制の実現と、その先の夢である量産をしたいというのが今は一番大きい目標ですね。量産に向けて人員の教育というのも一つですし、他にも量産化に向けて今動いています。それから、今後は金より安く、かつ金と同等な金属でめっきが出来るような方法を考えていきたいですね。例えば金と何かの金属の合金です。今はほとんど100%に近い金を使っていますが、それを50~60%ぐらいにして、金と同等の耐蝕性や接触抵抗を持てるようにしたいですね。あるいは、金以外の素材によるめっきも今後必要になってくるでしょう。5、6年前は1,000円程度だった金が今ではもう4,000円と、金の値段は上がる一方です。新しいめっきを開発しないと今後は厳しいのではないでしょうか。今は構想の段階ですが、実現するためのアイデアをひっそり温めています。
創業 | 1966年 |
代表取締役社長 | 高木 正司 |
所在地 | 〒612-8486 京都市伏見区羽束師古川町246-1 |
TEL | 075-933-4775 |
FAX | 075-933-5536 |
営業種目 | 金・銀・銅・Ni・Rhめっき |
社内設備 | 2018年工場更新(新工場内外景・新排水処理装置全景等) |
WEBサイト | https://takagilabo.jp |