「何になるか」より「何をするか」。選択肢を広げる「4つの領域」

佐々木
「日本の教育の不思議な現象やなと思ってるんですけど、小学生の時はね、みんな夢語れるんですよ。ところが中学生、高校生、大学生になるに従って、夢語れなくなっていくんですよね」
と佐々木さんが投げかけた一つの問い。多くの子供たちは、夢を「看護師」「パイロット」といった具体的な職業名で語ろうとします。しかし、その枠に自分を当てはめようとするあまり、偏差値や適性の壁にぶつかると、途端に「自分には夢がない」と立ち止まってしまうのです。
佐々木
「大事なのは、その職業になって何をしたいのか、なんです。目的を抽象化して捉え直せば、選べる道のバリエーションは一気に広がります。一つ夢が破れたからって、人生が終わるわけじゃない。同じ目的を果たせる場所は、世の中に山ほどあるんですから」
その「選択肢」を見つけるための地図として、佐々木さんは「4つの適性領域」を提示します。

佐々木
「エンジニアだけがものづくりの主役じゃないんです。アートな感性を持つ人もいれば、デザインで価値を高める人もいる。どこの企業にも、この4つの役割は必ず存在しています。自分がどの領域に惹かれるのかを知ることは、無理に自分を型にはめるよりもずっと大切なことなんです。」
大人の役割が「正解を教えること」ではなく、「選択肢を広げてあげること」だと信じているから、佐々木さんは子どもたちに伝えています。
「知らないものは選べない」—— だからこそ、まずは世の中の多様な営みを見せ、様々な可能性に目を向けてもらいたいのです。
佐々木
「今の教育は『どうすれば成功できるか』という最短ルートばかりを探させがち。でもね、そんなものどこにもないんです。」
『大事なのは、どの道が正しいかを探すんじゃなく、自分が選び取った道を、自分の努力で正解にしていくこと。自分で決めて、自分で歩き出す。その一歩こそが、本物の成功へのスタートなんやで。』
こういう話をすると、最初はどこか冷めていた学生たちの目つきが、少しずつ変わっていくそう。そんな瞬間が、学生との対話での醍醐味なのだと、佐々木さんは教えてくれました。

一般社団法人 京都試作ネット 代表理事 佐々木化学薬品株式会社 代表取締役社長
佐々木 智一

