医療介護の未来と技術革新
桑原
一緒に仕事をしていた千葉労災病院の先生(現在は早稲田大学)は、認知症になったらスマートフォンを使えといいます。むしろ認知症の人こそスマートフォンを使うべきだ。なぜかと言うとグーグルカレンダーで予定管理はできるし、写真でメモの代わりに写真を残せるし、それを簡単に整理できる機能もある。顔認識で誰に会ったかも全部残ります。自分が行動した記録を全部スマートフォンと、それを通してクラウドにアップできるから、忘れたときには検索して調べられる。気が付いたことはみんなメモに残してアップして後で振り返れる。今までパソコンを背負って生活することはできなかったけど、パソコンをポケットに入れて生活できるようになったから、むしろ高齢者、認知症の人は、スマートフォンをどんどん使ってくださいと思っています。
神田
高齢者にスマートフォンを配布している自治体があるそうですね。
桑原
高齢者にはスマホとかタブレット、使えないでしょ?と言う人がいますが、実は使えるんですよね。例えば、私は徳島出身ですが、山村部の方ですごく貧しい村でしたが、最近すごく発展してるんです。その理由は、高級料亭などで料理に添える葉っぱや枝、あれをおじいちゃんおばあちゃんが山に入って集めて出荷しているんですよ。その出荷管理を全部スマートフォンで管理している。80歳、90歳のおばあちゃんがこうやってスマフォを見て「あ、注文入った。採りに行こうか」と。だから、モチベーションさえあれば高齢者は平気でスマートフォンを使える。そのくらいインターフェイスが良くなっていますからね。今後たとえば10年後20年後に認知症になる世代は、もうスマートフォンや携帯がなかったら逆に不安な世代じゃないですか。今の高齢者は、特に認知症になったら何かを身に付けるのが嫌なんですよ。スマフォを持ってくれと言っても嫌がる。しかし10年後はケータイを握って離さない高齢者ばかりになる。そういう意味では暮らしやすい社会になる。高齢者でも認知症でも日常生活を送るのには不便のない社会になってくるんじゃないかと思います。
神田
これまでは限られた条件でお金をかけてソフトウェアを開発するのが常でした。しかしアンドロイドのようなオープンソースが出てきて、さらにモチベーション次第でいろんな人がフリーでアプリケーションを開発してネットで配信できる環境になり、いろんなアイディアが出てくるので、可能性は無限大だと思います。ただ、我々のビジネスとして考えると、どれだけプロとしての付加価値を付けられるかが非常に重要です。普通の大学生でも、自分で作ってアップロードして、例えば1件100円でダウンロードされたとしても1万人がダウンロードしたら100万円ですからね。ソフトウェア業界では、オープンソースになったということが革新です。
※本記事は2013年8月時点の内容に基づいています。株式会社京装テクノロジは2013年12月に株式会社KYOSOテクノロジに社名変更しました。